カンジタ菌という言葉を、聞いたことはありますか?
デリケートゾーンのトラブルとして知られるカンジダ(カンジダ腟炎、カンジダ性亀頭包皮炎など)の原因となっている菌のことです。
デリケートゾーンに起こるトラブルであることから、なんとなくカンジダは特別なものという認識のある人もいるでしょう。
しかし、カンジダは特別なものではなく、誰にでも起こりうる身近なもの。
ここでは、そんなカンジダを引き起こしているカンジタ菌とはどんなものなのか、お話ししていきたいと思います。
カンジタ菌は酵母の仲間
カンジタ菌は真菌の一種で、カビの仲間です。
カビと聞くと驚くかもしれませんが、水虫の原因としても知られる白癬菌も、カンジタ菌と同じ真菌、つまりカビの仲間なんですよ。
カビが引き金になっているトラブルは、意外と私たちの身近なところにもあるものなのです。
話が逸れてしまいましたが、カンジタ菌は真菌の中でも酵母の仲間で、2つの発育形態を持っています。
・酵母形
1つめは、酵母形と呼ばれるもの。
腸管内や粘膜の上皮表面など、もともとの住み処にいるカンジタ菌は、この形をしています。
カンジタ菌は特別なものではないという話をしましたが、それはカンジタ菌は誰にでもいる菌、すなわち常在菌であるためです。
腸内細菌という言葉を聞いたことがあるでしょう?
腸内細菌は元々体内に住み着いている菌のことをいうのですが、カンジタ菌も元々体内に住み着いている菌の1つ。
腸管内や粘膜上皮、皮膚などに生息しており、そこでの発育形態が酵母形というわけです。
・菌糸形
一方、生息地から離れて別の場所で感染し、観戦した組織内での形態を菌糸形といいます。
カビの生えた食パンをよく観察すると、カビにはふわふわとした糸のようなものが表面にこびりついていることが分かると思います。
これが、菌糸形です。
カンジタ菌が菌糸形になるのは感染した組織内だけですから、「悪さをしないカンジタ菌は酵母形、悪さをするのは菌糸形」と覚えておきましょう。
たとえばカンジダ腟炎を発症して病院へ行ったとき、顕微鏡検査で見つかるカンジタ菌は、菌糸形だと言えます。
何かしらの不快症状が出ているとき、その症状を引き起こしているカンジタ菌は、すべて菌糸形とみていいでしょう。
カンジタ菌は誰でも持っている?
カンジタ菌は、誰でも持っている菌です。
皮膚や粘膜などにいるのですが、健康なときには悪さをすることはありません。
腸内細菌のうち、大多数を占めている日和見菌の1つなのです。
そのため健康なときには悪さをすることはもちろん、必要以上にその数も増やすことはありません。
カンジタ菌が増える理由
カンジタ菌によってカンジダの不快症状が出るのは、元々存在していたカンジタ菌が何らかの影響で増えてしまうため。
普段はカンジタ菌が増えることはなく、たとえ増え始めたとしても、他の常在菌によってその増殖は抑制されます。
健康なときには症状が出ないというのは、このためですね。
しかし、カンジタ菌が増えてしまうこともあります。
それは体力や免疫力が低下していたり、女性なら膣が高温多湿であること、男性なら包茎であることが挙げられます。
男性も女性も、デリケートゾーンが蒸れる環境にあると、カンジタ菌が増殖しやすくなるので気を付けましょう。
日頃から体力や免疫力を低下させないように規則正しい生活を心がけていくだけでも、カンジタ菌の増殖を予防することができますよ。
まとめ
カンジダの原因でもある、カンジタ菌についてお話ししました。
カンジタ菌が増えてカンジダを発症すると、耐え難いほどの強いかゆみを感じることがあります。
カンジタ菌は常在菌であるゆえ、完全になくすことはできません。
いかにカンジタ菌を増やさないようにするかが、カンジダを発症しないためのポイントと言えそうですね。